AIアニメコンテストに向けた8分作品の制作を通じて確立した、企画の種から動画化までのワークフローを解説します。
クリエイターにとって、自分の作品で自分自身の感情が動くというのは何よりの手応えです。今回、国内最大規模のAIアニメ特化コンテストへの応募作として、約8分の作品を制作しました。テーマは「世界が滅亡する時の高校生の恋愛」。散歩中にメモしていた小さな着想を、納得のいく一本にまで仕上げることができました。技術の進化でクオリティが上がるのは当然として、見返して自分でも泣ける、その手応えこそがAI映像の到達点だと考えています。本稿では、その制作ワークフローを工程ごとに公開します。
ワークフローの起点は企画の種探しです。ここだけは人にもAIにも任せず、自分で考えます。頭に浮かんだ「面白そう」を逃さずメモしておくことが、すべての出発点になるからです。種が見つかったら、自分が何を良しとし何をダメとするかを学習させた脚本生成の仕組みに投げます。すると自分の感性に沿った脚本が7〜8割の精度で出力されます。発想と脚本化をきれいに分業することで、最も力を注ぐべき「種」の部分に集中できる。自分の良し悪しをAIに学習させると、感性ごと量産できる仕組みになるのです。
脚本ができたら、おおよそ6カットを1シーンとして切り出し、各カットの指示を文章で書いた「字コンテ」を生成します。さらにその字コンテを絵コンテに落とし込み、動画生成AIに読み込ませる。この絵コンテを挟むかどうかで、仕上がりのクオリティと制御性が段違いに変わります。
動画生成の段階では、字コンテと絵コンテに加えて、キャラクターシート、空間構造やライティングが分かる背景画像、必要な小物まで渡します。渡す情報が増えるほどAIがシーンの全体像を正しく理解し、生成の安定感が大きく変わることを今回あらためて実感しました。また、一発で完璧な素材が出る確率は体感で5割ほどなので、1カットにつき3〜4素材を生成し、組み合わせて完成度を高めるのが現実的な運用です。
この一連の流れは、ツール連携によってほぼ自動化できる土台が整いました。残る手作業はシーンの切り出しの判断のみで、ここを詰めれば「企画の種を出すだけで、自分の感性に沿った15分・30分の動画が自動で作れる」段階に入ります。良いツールが出たら即座に試し、ワークフローに落とし込む。その素早さがクオリティの差を生むと考えています。当社のアニメ・IP向け映像制作でも、こうした工程設計の知見を日々アップデートしながら制作にあたっています。制作費の考え方については費用に関する解説記事もあわせてご覧ください。