生成ツールが進化するたびに作り方は変わります。半年間の壁打ちで見えてきた、AI動画制作の半自動化への道筋をお伝えします。
AI動画の生成ツールは驚くほどの速さで世代交代を続けています。私自身、主力ツールがViduQ3からKling3.0、そしてSeedance2.0へと移り変わるたびに、制作ワークフローを一から見直してきました。ツールごとに癖や得意分野が異なるため、前の世代で通用したノウハウがそのまま使えるとは限らないのです。直近ではSeedance2.0から2.5への切り替えが大きな転機でした。2.0は細かく指示しなくても良い仕上がりになる一方、2.5はプロンプトへの追従性と参照画像の再現性が格段に向上した代わりに、丁寧に説明しなければ思い通りの映像にならない。「正確だが手間がかかる」ツールへと性格が変わったため、私は今も2.5向けの仕組みをゼロから作り直しています。
当初は作品制作をすべて自動化するつもりでしたが、実際にはうまくいきませんでした。理由は、脚本づくりとプロンプトづくりの両方に細かな「穴」が残っていたことです。セリフの違和感、シーン間で食い違う背景、いつの間にか変わってしまう時間帯。AIは80点のものは作れても、90点に届かせる部分にはまだ人の手が必要です。こうした穴は1シーンだけ見ていると気づきにくく、複数シーンをつなげて1本にした瞬間に違和感として表面化します。だからこそ自動化を急ぐより、人の目で穴を見つけて塞ぐ工程を丁寧に積み重ねることが欠かせません。
この壁打ちの過程そのものが、次の作品のためのノウハウになります。会話劇、アクション、実写、アニメといったジャンルごとの作り方のパターンをデータとして蓄積できれば、似た案件が来たときに同じ検証を一からやり直す必要がなくなる。穴を塞ぎ切ったとき、高品質な映像の自動生成は理論上可能になると私は考えています。
GPT-6 Astraは、MCPやブラウザ操作の機能によって、脚本からプランボード、キャラクターシートまでを一気に生成できます。完成動画の1シーンをスクリーンショットとして取得し、同じシーンの別カットの背景素材として再利用する、という作業も任せられるようになりました。さらに動画編集ソフトのDaVinci ResolveともMCPで連携でき、2つのAI動画の間につなぎ映像が足りない場合、過去の壁打ちの傾向をもとに適切なシーンとプロンプトを提案し、つなぎ映像そのものを生成するところまで来ています。完全自動化の手前にある「半自動」の段階は、想像以上に近づいています。
今からAIに任せられる・任せられないを線引きするより、いずれできる前提で仕組みを整えておく方が合理的です。当社でもこの考えに基づき、制作体制をAI前提のワークフローへと切り替えを進めています。こうした知見はCM・PR動画制作にも日々還元しており、ツールの進化を恐れず、変化のたびに仕組みを作り直す姿勢こそが、AI映像時代の競争力の源泉だと実感しています。