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2026.08.10 — RADIO COLUMN

AI映画の脚本づくりで、AIに任せる前にやるべきこと

AIに脚本を書かせても物足りない仕上がりになる原因は、書き手の側にあります。判断軸を育ててからAIと向き合う制作手順を解説します。

AIに任せきりでは感情を揺さぶれない

AI映画を作る際に物語や脚本をどのようにAIに書かせているか、というご質問をいただくことがあります。結論から言うと、私自身も脚本の執筆にはAIを活用しています。しかし今のAIの実力だけで、視聴者の感情を揺さぶる脚本を完成させるのはまだ難しい、というのが経験に基づく実感です。AIは人間が好みそうな、反論されにくい回答を出すことに長けている一方で、物語に潜む穴には気づきにくい性質があります。判断軸を持たないままAIの出力を採用すると、その穴に気づけないまま「なんとなく整っているが心に残らない」脚本が仕上がってしまうのです。

判断軸は泥臭い経験からしか育たない

私はChatGPT登場以前から、顔出しをしないYouTubeチャンネルの運営で8000字から1万字を超える台本をすべて自分の手で書き続けてきました。当時有効とされていたのが、伸びている動画の文字起こしを実際に書き写す「写経」です。ベンチマークとなる台本を手で書き写すことで、なぜその構成が視聴者に刺さるのかを体感的に理解できます。この積み重ねがあるからこそ、AIが出した案に対して「ここは違う」「ここは良い」と判断できるようになりました。時代に逆行するようですが、私は脚本を学ぶ方に、まずAIを使わずに書いてみることを勧めています。自分の中に良し悪しの基準がない状態でAIに頼っても、良いものは作れないからです。

小さな出力の反復でAIを自分色に教育する

判断軸ができてきたら、次はAIをその判断軸に馴染ませる段階です。私が実践しているのは、1000字程度の短いアウトプットをAIに出してもらい、良い点と悪い点を細かくフィードバックする作業を繰り返す方法です。このループを重ねることで、AIが少しずつ自分の好みや価値観に染まっていき、まとまった文字数の物語を依頼するだけで自分好みの脚本が出てくるようになります。

AIを自分色に教育する判断軸を育てる1000字で出力フィードバック
小さな出力への反復フィードバックがAIを育てる

大切なのは、いきなり長い物語を依頼しないことです。小さな単位のやり取りだからこそ、どこが良くてどこが違うのかを具体的に伝えられます。この反復がなければ、AIはいつまでも一般的な回答しか返しません。地道なフィードバックの回数こそが、自分専用の脚本パートナーを育てる近道だと感じています。

企画と脚本こそ映像の差別化要因になる

生成AIの進化で映像の技術的なクオリティは急速に均一化しています。だからこそ、視聴者の感情をどう動かすかという企画・脚本の力が、これからの映像制作における最大の差別化要因になります。当社では、この考え方を土台にCM・PR動画制作に取り組んでいます。AIを使いこなす前に、まず自分の判断軸を育てる。遠回りに見えて、それが感情を動かす映像への最短ルートだと考えています。

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